ニデック永守重信会長の堪忍袋の緒が切れる? 「売上高4兆円」達成に不可欠な牧野フライスの買収が難航中
■アグレッシブさを増すニデックの買収手法
ニデックはこれまで創業者である永守氏の目利き力で数多くの買収を手掛け、急成長してきた。その手法は、経営不振に陥った企業を救済買収し、短期間で再生させるなど、友好的な姿勢が貫かれていた。しかし、ここにきてニデックは豹変している。
「23年の工作機械メーカーTAKISAWAの買収では、相手の同意を得ずにTOBを仕掛け、子会社化することに成功した。以降、ニデックの買収手法はアグレッシブさを増している」(大手証券幹部)というのだ。
ニデックは中期経営計画で25年度の売上高を4兆円にする目標を掲げているが、24年度の通期の売上高見通しは2兆5000億円に過ぎない。残り1年で目標を達成するためには牧野フライス買収は不可欠というわけだ。
ニデックが2月26日に開いた記者会見では、西本達也副社長と荒木隆光専務が出席し、今回のTOBは敵対的買収を前提としたものではないと強調。「企業の合併・買収(M&A)の手法としては極めてフェアな方法。株主に透明性を確保し、適切な売却機会を与えている」(荒木氏)と説明した。また、牧野フライス株の取得価格は引き上げず、もし牧野フライス側に友好的な買収者(ホワイトナイト)が登場するなど、予定する1株1万1000円でのTOBが難しくなった場合は、買収から撤退すると語った。