渋野日向子のスイング改造は不安材料ばかり(菅野徳雄)
だから本当は手元を低く構えれば、バックスイングでシャフトは立って上がるはずなのに、渋野は逆にクラブを寝かせて上げた。それで左手首を手のひら側に折ってフェースをシャットに上げて横振りのスイングに変わっていた。これでクラブをしっかりと振り切ってヘッドを返してやれば低いフックボールしか打てない。球が上がらないので飛距離も出ない。
米ツアー試合会場のフェアウエーは洋芝であり、日本と違いボールは微妙に沈む。バックスイングでシャフトを寝かせたらバックスピンのかかったショットはできない。グリーンに乗っても止まらないので、ピンが立っている面に止めることは難しくなる。それでは世界のトッププレーヤーと対等に戦うのは不可能だ。ところが、ハワイで行われたロッテ選手権では、トップでシャフトをあまり寝かせずにバックスイングしていた。手の位置は肩より高くは上がっていないけれど、グリップエンドを飛球線の後方線上に向けて、スイングプレーンから外れていない。
「トップの手の位置は低くてもシャフトを寝かせなければよい」と、戸田藤一郎がよく言ったのを思い出す。戦前、戸田はアメリカに遠征し、西海岸のウインターサーキットに2カ月ぐらい参戦し、「アメリカの近代ゴルフを学んできた」と言った。