スポーツ界のトレンドに逆行 マスターズがMLBのような試合時短に取り組まない理由
昨年からスタートしたLIVゴルフは革新的だ。3日間54ホールで行われ、選手全員が各ホールから一斉にスタートするショットガン方式をとり試合時間は大幅に短縮されている。しかし、世界ゴルフ界のイニシアチブリーダーでもあるマスターズは時短の意思はなく、変えられない事情もある。球聖ボビー・ジョーンズがつくったマスターズの伝統を守り続けるというのが第一の理由だ。
マスターズがPGAツアーや他のメジャーと大きく異なっているのが、テレビ放映権料、テレビ視聴率、スポンサーを気にせずにパトロンと呼ばれるギャラリーを優先している点だ。かつて米国のテレビ局もバック9しか中継しなかった。だからフロント9がどんなコースか、どんな試合展開かはパトロンしか知らなかったという時代があった。
■パトロンが落とす莫大なカネ
マスターズは米国内向けの放映権料を一切とらず、逆にCBSに制作料を支払い、放送枠まで購入している。その資金はマスターズが集めたCMスポンサーによって賄われている。マスターズが放映権料を取るようになれば1億ドル(約132億円)の収入が見込まれるといわれるが一銭も手にしていない。放映権料でマスターズの収入になるのは海外放送分だけで2000万~2500万ドル(約26億4000万~33億円)だけ。