ラグビーW杯 南アHOムボナンビ人種差別発言不問の裏にWRの「オールブラックス憎し」
ラグビーW杯フランス大会の決勝が日本時間29日、サンドニのスタッド・ド・フランスで行われる。連覇がかかる南アフリカ、2大会ぶりに決勝に進出したニュージーランドはともに、史上最多4度目の頂点を目指す。
22日の準決勝では南アHОのボンギ・ムボナンビ(32)がイングランドFLのトム・カリー(25)に対し「この白人野郎」と人種差別的な暴言を浴びせた疑惑が発覚。カリー本人から訴えを受けた国際統括団体ワールドラグビー(WR)が調査に乗り出し、リプレー映像などを検証した結果、「現時点では責任を問うには証拠不十分であると判断した。従って、追加の証拠が出ない限り、この問題は解決したと見なす」とし、疑惑の当事者であるムボナンギは決勝戦出場が可能になった。
今回、世界を代表するHОがお咎めなしに終わったのは、WR内の主導権争いが影響したともっぱらだ。
WRではイングランドを中心とする6カ国対抗戦の北半球と、ニュージーランド、豪州などの南半球の2つの派閥が勢力を争っている。2020年のWR会長選では、北半球側が推すビル・ボーモント現会長(イングランド)と、南半球側が擁立したアグスティン・ピチョット前副会長(アルゼンチン)の一騎打ちだった。