【ニッポンを知る 】右旋回を続けるニッポン。その姿を多方面から検証しよう。
「日本人にとって美しさとは何か」高階秀爾著
西洋美術史の大家として知られた著者が語る日本美の神髄とは? たとえば建築。西洋ではレンガを焼いて積み重ね、壁を作ってその上にアーチをかける。すなわち「壁の建築」が西洋。これに対して日本は樹木を切り出して柱を立て、その上に屋根をかける。つまり「柱の建築」。ギリシャのパルテノン神殿は列柱建築の代表として有名だが、実はあの列柱はすべて石を積んで作ったもので、日本のように一本木で柱を作るような発想ではないのだ。種々のエピソードをちりばめたわかりやすい日本論。(筑摩書房 1900円+税)