【イスラームを知る】急速に存在感を増すイスラーム。これまでなじみ薄い日本人にも必須のイスラーム世界情報だ

公開日: 更新日:

「イスラーム圏で働く」桜井啓子編

 日頃の習慣から価値観まで、イスラームの世界と日本とはイメージが大きく違うと思われている。しかし、実際はイスラーム世界で暮らしている日本人も少なくない。本書はさまざまな時期と立場でイスラーム世界に関わった日本人への聞き書き集だが、これが相当に面白い。

 エミレーツ航空の客室乗務員だった女性によれば、機内で連絡先を聞かれてもさりげなく断るとき「イン・シャー・アッラー」(神のおぼしめしのままに)といえば角が立たない。オマーンの油田で働いた男性管理職によれば、たとえ外国人であれ人の顔のついたTシャツは偶像崇拝禁止のためNGという。クウェートに事務所を開設した商社マンは、アラブ世界での必須の心得は「あせらず、あてにせず、あきらめず」だとする。イランに駐在した別の商社マンの体験では一軒の店でなじみになりかけると値段がなぜか上がったりする。なじみ客には安くする日本とは真逆の発想で、こちらの顔色を見ながら値段を決めてゆくしたたかさに驚かされる。

“イスラーム圏就活本”としての効用もありそう。(岩波書店 780円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 2

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 3

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  4. 4

    大阪万博「遠足」堺市の小・中学校8割が辞退の衝撃…無料招待でも安全への懸念広がる

  5. 5

    「クスリのアオキ」は売上高の5割がフード…新規出店に加え地場スーパーのM&Aで規模拡大

  1. 6

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  2. 7

    「ダウンタウンDX」終了で消えゆく松本軍団…FUJIWARA藤本敏史は炎上中で"ガヤ芸人"の今後は

  3. 8

    189cmの阿部寛「キャスター」が好発進 日本も男女高身長俳優がドラマを席巻する時代に

  4. 9

    PL学園の選手はなぜ胸に手を当て、なんとつぶやいていたのか…強力打線と強靭メンタルの秘密

  5. 10

    悪質犯罪で逮捕!大商大・冨山監督の素性と大学球界の闇…中古車販売、犬のブリーダー、一口馬主