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「日米の教科書 当時の新聞でくらべる太平洋戦争」辰巳出版著

 戦争を敵味方双方の立場から見比べる。かつてアメリカの日本史学者ジョン・ダワーが使った方法をシンプルに応用したのが本書。日米の歴史教科書の記述を比べ、また当時の新聞を並べて双方の見方の違いを探るのだ。

 たとえば真珠湾。「リメンバー・パールハーバー」の文句は有名だが、現在の米教科書はことさら敵意ある表現は使わず歴史的事実を記す。日本側も同じく米太平洋艦隊の主力を全滅させた事実だけを淡々と記述する。つまり対称的だ。他方、特攻隊について日本の教科書はほとんど触れないが、米教科書ではかなり詳しく記した上に「日本軍のパイロットが国のために身を捧げる姿は称賛に値する」という体験者の談話まで引いたりしているという。予想外の非対称に驚かされる。(辰巳出版 1200円+税)


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