【同性時代】同性婚を禁じた州法に違憲判決を出した米最高裁 これを機に同性婚問題に注目が集まっている
「同性婚」南和行著
39歳と38歳の男性2人。大阪の繁華街、天神橋筋商店街近くで弁護士事務所を開いている。この彼らが実は「夫夫」。誤植ではない。これで「ふうふ」と読む。すなわち現役弁護士同士の男性カップルなのだ。本書はこのカップルの一方が著者となった同性カップル誕生記に加え、同性婚をめぐる法的問題のアドバイス集。
著者はもともと建材メーカーの技術者として社会人生活をスタート。しかし当時既につきあっていたパートナーが司法試験をめざす決意をしたのを契機に、2人で同じ目標を分かち合うことにしたという。とはいえ、めでたく2人が弁護士になり、事務所開設にこぎつけるまでの間には、同性愛が原因で親との関係が悪化したり周囲への気遣いに苦労したことも少なくない。
そんなエピソードが本書の前半をなしたあと、第2章以下では弁護士の立場から日本社会で同性愛者として生きていくためにはどうしたらいいかの具体的なアドバイスが繰り広げられる。
たとえば異性婚であれば片方が警察に逮捕されても配偶者が独自に弁護士をつけることができるが、日本の法律が認めていない同性婚の場合、パートナーは独自に弁護士を選任する資格がないのだ。当事者ならではの体験も踏まえた実用書でもある。
(祥伝社 780円+税)