「フランクル『夜と霧』への旅」 河原理子著
ユダヤ人精神科医ヴィクトール・フランクルがナチスの強制収容所での過酷な体験をつづった名著「夜と霧」。
フランクルは作品を通し「人は運命に翻弄されるだけの存在ではなく、不条理を引き受け、運命に対してどんな態度を取るか決める精神の自由がある」と説いた。多くの日本人を支えてきたこの書が、どのように読み継がれてきたかに迫ったルポルタージュ。
西ドイツの本屋で原著と出合い、翻訳者として日本に伝えた霜山徳爾や、生前のフランクルと親交があった心療内科医の永田勝太郎、そして震災後を生きる被災地の人々まで、作品から「生きる意味」を見つけ出した人々を取材。作家の人生にも迫りながら、その思想の源に迫る。(朝日新聞出版 800円+税)