「楽隊のうさぎ」中沢けい原作者
中学校の吹奏楽部を舞台に、作家の中沢けい氏(54)が思春期の揺れる気持ちをみずみずしく描いた小説「楽隊のうさぎ」。群像新人賞「海を感じる時」でのデビューから35年、自作の映画化は意外にも初めてだという。
――デビュー作から、映画化の話は30本以上あったそうですが、実現していない。今回はどこがよかったのですか?
「脚本を拝読した時点で、これは安心していい、何の心配もいらないと思ったんです。『楽隊のうさぎ』は32歳と31歳になる私の息子と娘が中学時代に吹奏楽部にいて、何となく見ていた感じから、約10年前に新聞で連載した小説なんですけど、以来、皆さんにゆっくりと愛してもらってきました。吹奏楽をやっている人たちに喜んでいただく一方、オタク小説などといわれムッとしたものですが、最近は吹奏楽ブームに乗ったなどといわれる。映画『スウィングガールズ』やTVで取り上げられたり、本も出て、吹奏楽への関心が高まっているからでしょうけど、社会人になっても続けていたり、毎年コンクールのCDを買われたりする方はもともと多いんですね。きちんと発行年を見てほしい、という気持ちはあります」