「現代のベートーベン」佐村河内守氏は罪に問われるのか
別人に曲を書かせていたことがバレた自称作曲家の佐村河内守氏(50)。気になるのは、このペテン作曲家の“刑事責任”である。CDを販売したレコード会社や、作家活動を密着取材したNHKなどのテレビ局が刑事告訴した場合、どんな罪に問えるのか。
「実際に作曲した人とは合意の上だったので、著作権法の対象にはなりません。罪に問えるとすれば詐欺罪です。耳が聞こえないのに本人が作曲していることを前提にCDを制作し、テレビ番組を作ったのだから、ダマしたも同然です。ただ、CDを買った人については微妙です。数十人単位で集団告訴しても警察は受理しないと思われます」(日大名誉教授の板倉宏氏=刑法)
詐欺罪の懲役刑は最長で10年だ。板倉氏によると、レコード会社とテレビ局など複数の被害者をダマしたと認められれば、併合罪となり、最長で懲役15年となる。今回のケースでは、初犯であれば懲役3年、執行猶予3年が順当という。
「民事訴訟では、レコード会社がCDを回収して実害を被ったり、テレビ局の信頼が傷つけられたと認定された場合は損害賠償の支払いを命じられると思います。少なくとも、テレビ局が払った出演料の返還を求められるのは間違いありません」(板倉宏氏)
「現代のべートーべン」から詐欺師に転落。ウソは身を滅ぼすということだ。