星野哲郎氏と衝突 水前寺清子「マーチは嫌!」とゴネていた
恩師の曲を歌い続けてわかったことがある。
「ある時、先生が私に<チータもやっと語り部になれたな>って言うんです。何のことかわからなくて、<語り部ですか?>と聞き返したら、<うん、やっと俺の詞がわかるようになったな>って。そうなんです、先生は私の曲にはご自分の生きざまを込めて詞を書いてくれたんだなってわかるようになっていたんです」
例えば「あすなろの唄」(67年)。「♪いっぺんぐらいのしくじりだけで、ばかめ男が泣くんじゃないぜ」は、1位を取るまでは田舎に帰れない決意を歌っている。「♪ぼろは着ててもこころの錦」(いっぽんどっこの唄)も、「♪敗けて死ぬのは死ぬよりつらい」(艶歌)も、恩師の生き方そのものだったことを理解できるようになっていた。
■口癖は「一日を一生と思え」
「思えば、『三百六十五歩のマーチ』の時、先生は“この曲は僕のテーマ”とまで言ってくれたのに、私はマーチなんて歌いたくないとごねた。<♪ワン・ツー、ワン・ツー>とかどこの運動会の歌? って。でも、舞台で先生の物語をやってはっきりわかった。先生はあの歌に自分の思いを投影していらっしゃったんだって」