デビュー40年の相本久美子さん 恩人の土居まさる氏を語る
■土居さんは常に次の次を考えていた
そんな意外な“挨拶”でスタートした土居さんとのコンビ。これまた意外かもしれませんが、怒られたことって一度もありませんでした。
例えば、店舗の住所を紹介しなくてはならないのに私が言いそびれると、土居さんは何事もなかったかのようにその後の会話の中にスッと住所を挟み込むのです。それは1秒2秒の間もなく、あたかも台本通りのような絶妙なタイミング。まさに名人芸でしたね。
もともと、文化放送さんで野球の実況中継をされ、その後、深夜ラジオ番組のパーソナリティーを長く担当されてましたから、空白の時間が出ないように、さらに違和感なく番組を進めるのは慣れてらしたのかもしれません。
ベテランで全国的にも知られた有名司会者でいらっしゃるのに、とても謙虚な方で。背中で教えるタイプっていうのでしょうか。
かといって、私も甘えてばかりいたわけではありませんよ。「TVジョッキー」に出演するようになってからは、毎週毎週が真剣勝負であり、アシスタントとして学びの場。土居さんの立ち位置や体の向き、表情、視線の向け方、話し方をすぐそばで目の当たりにして、私がどこにいたら最適なのか、どのようなリアクションをすればいいのかをずっと考えていました。