「恩返しは何も…」デビット伊東が語る師匠・星セントの思い出
でも、それがよかったんです。もし、細かいことを言われていたら、嫌になってやめていたかもしれません。稽古を始めて半年ぐらい経ったころ、セントさんが当時、人気だった六本木のショーパブ「バナナパワー」を紹介してくれて、1日3ステージ立つようになった。
そのステージを見にテレビ局のプロデューサーとか、芸能事務所の方とかがいっぱい来て、事務所が決まり、テレビの仕事が入るようになっていったんですけど、そういう方たちも多分、セントさんが連れてきてくれたんでしょうね。
要するに、根回しして道筋をつけてくれたのは全部、セントさんだったんです。あのころはどこへ行っても、「ああ、君たちはセント君のところの……」って言われましたから。
目が回るような忙しさが過ぎた98年ごろ、ボクはある番組で左足をケガして、膝から下が動かなくなったことがあった。そうしたらセントさん、突然、アパートを訪ねて来てくれたんです。「何やってんだ、早く歩けよ」「おにぎり買ってきて」とかって、笑わせながら励ましてくれたんですよね。
おにぎりっていうのは、セントさんが稽古をつけてくれていたとき、なぜか、ボクをおにぎり好きだと思い込んでいて、いつも「買ってこい!」って命じられていたんですよ。