沢田亜矢子さんが振り返る恩人・森光子さんとの“師弟関係”
でも、その一つ一つがおっしゃる通りだったんです。それまで毎日もがいていたのがたちまち氷解して、ごく自然に演じることができたから「あら不思議」です。最後の幕が下りてから「やっと初日が出たわね」と森さんに褒めていただき、うれしくて涙が止まりませんでした。
その時の教えは「相手をちゃんと見て、セリフや演技を上手にキャッチボールしなさい」。一人芝居でない以上、自分だけ目立つのはお行儀が悪く、独り善がりの芝居ということなんです。
森さんは生涯、お弟子さんを取らなかった。でも、それ以降も舞台やドラマでご一緒するたびに弟子のように、手取り足取り教えていただきました。そのことが今も私の宝物。心から感謝しています。