東映お正月映画不発…難破寸前の「海難1890」敗因は?
安倍晋三首相とトルコのエルドアン大統領がそろい踏みでワールドプレミアに出席、東映期待のお正月映画として鼻息荒く日本公開に挑んだ歴史映画「海難1890」に、早くも期待外れの声が出ている。
「同じ300館オーバーで全国公開され、昔の日本人の美談を描くコンセプトが似通っているライバル東宝の『杉原千畝 スギハラチウネ』はもちろん、わずか120館公開のアニメ『映画 ハイ☆スピード! Free! Starting Days』(松竹)にさえ水をあけられています。4週目にして早くも興収トップ10圏外に去らんとする状況は寂しい限り。事前の宣伝面の不備があったとはいえ、最終的に10億円に届くかどうか」(映画関係者)
1890年、オスマン帝国(現トルコ)の親善訪日使節団を乗せた軍艦エルトゥールル号が座礁したとき和歌山の漁民らが命がけで救った史実と、その恩返しとして95年後のイラン・イラク戦争時、日本人のため救援機を飛ばしたトルコ政府の実話物語。両国の友情の礎ともいわれるこの史実は確かに感動的なのだが……。
「映画は政治的なプロパガンダのにおいが強すぎます。たとえば海難事故編では当時のオスマン政府による人災だった側面は描かれていません。また後半では、テヘランで日本人が逃げ惑う状況下、ヒロインが何の脈絡もなく『有事に自衛隊機を飛ばせない法体制』の批判を始めたりします。安保法制の必要性をマトモに説明できなかった安倍首相におもねるかのような突然の政治批判には興ざめです」(映画批評家の前田有一氏)