東宝「232億円」プロジェクトの勝算…新宿開業で興行地図一変
“客寄せゴジラ”は効果テキメンのようだ。今月17日にオープンした「新宿東宝ビル」。08年に閉館した新宿コマ劇場(東京・歌舞伎町)の跡地で、大型シネコン「TOHOシネマズ新宿」やホテル、飲食店が入る複合商業施設として生まれ変わり、26日の日曜日で開業から2度目の週末を迎えた。ビル周辺は20代カップルや中高年夫婦、アジア系外国人の観光客らでゴッタ返し、皆こぞって8階屋上に鎮座する「ゴジラヘッド」(高さ12メートル、重さ80トン)を写メしていた。
映画館内で行われるイベントも大盛況。この日は製作50周年を記念したDVD「サウンド・オブ・ミュージック」日本語吹き替え版の発売イベントが行われ、石丸幹二(写真左、49)、平原綾香(同中、30)、日笠陽子(同右29)が出席。500人を収容する劇場は満員御礼の状態だった。
「歌舞伎町を訪れたのは30年ぶり。“ゴジラ”見たさに応募したら当選しました。憧れのマル様(石丸)にも会えたし、幸せです」(都内在住60代女性)
新宿エリアの映画興行を先導しているのは、2つの大手系列のシネコン「新宿ピカデリー」と「新宿バルト9」だ。しかし、この「TOHOシネマズ新宿」の“殴り込み”により、業界では興行地図が一変するのではないかと目されている。14年の観客動員数は“ピカデリー”が225万人、続く“バルト9”が160万人。この2館は全国で上位ワン・ツーを占める中、東宝は15年度に“ゴジラ”で120万人以上の動員を目指すという。はたして勝算はあるのか。映画ジャーナリストの大高宏雄氏は「理想的なスタートダッシュを切った」とこう続ける。