早くも映画賞最有力の声 「天空の蜂」はライバル東宝も圧倒
先週公開された邦画エンターテインメント大作「天空の蜂」の評判がすこぶるいい。評価が高いのはもちろんのこと、映画業界では、年末から始まる各映画賞の最有力候補ではないかとの声が、早くも飛び交っている。
製作・配給は松竹だが、映画を見たライバル会社の東宝の幹部も素晴らしさに圧倒されたと話していた。この夏、大ヒット作を連発し、今後も話題作揃いの東宝にそこまで感嘆させたのだから、たいしたものだ。
「天空の蜂」は、ある男が、遠隔操作した巨大ヘリコプターを原発に突っ込ませようとする過激な話である。航空自衛隊と原発関係者がヘリ突入を阻止せんとさまざまな手立てを講じる過程で、ハラハラドキドキのサスペンス劇が展開される。
その興奮度が最高潮に達するのが、自衛隊ヘリ部隊の隊員の救出シーンだ。空中での数十分にも及ぶこの大迫力の場面は、思わず身を乗り出すほどワクワクする。近年、最高の邦画娯楽大作の見せ場でもある。
俳優陣は江口洋介、本木雅弘、仲間由紀恵、綾野剛、柄本明、國村隼らで、芸達者が存分に力を発揮している。この手の大作でありがちな、力んでオーバーに演技をするといったことはなく、淡々とした所作の中にキラリと光る重厚感たっぷりの演技がまたいい。