<第1回>壮絶“洗脳話”が大反響 今なぜ私は話すのか

辺見マリ（Ｃ）日刊ゲンダイ

　ところが、そんな失敗をありのままにお話ししたところ、大きな反響をいただくようになったのです。最近の私は、６０～７０年代を中心に活躍した同世代の歌手の方々と一緒に「同窓会コンサート」などにも出演しています。ここでもたくさんの人から「見たよ」「大変だったね、頑張ってね」といった声をかけてもらうようになりました。昨年末に放送された同番組の総集編でも特別賞をもらったほどで、私を知らない世代の人たちにも強いインパクトがあったようです。

■洗脳は「自分とは関係ない話」ではない

　過去の体験をお話ししようと思った大きな理由は、やっぱりもうこれ以上、私みたいな失敗をする人を増やしたくなかったからです。洗脳なんて自分とは関係ない話だと思われるかもしれませんが、私がそうだったように現実には、ほんのちょっとしたきっかけで、誰でもはまり込んでしまう危険性があるものです。

　もっと言えば、今も同様の状況で苦しんでいる人がいるかもしれません。その周りで苦しんでいる人がいるかもしれません。そんな人のために、私がお話しすることで、少しでも助ける力になれればと思ったのです。