大杉漣さんの命を奪った 前兆なき「急性心不全」の恐怖
「大杉漣、死す」のニュースにゾッとした人も少なくないだろう。役者として働き盛りの66歳での急死は、決して他人事ではない。
大杉さんの死因は「急性心不全」と発表された。心不全は心臓から血液を押し出すポンプの力が低下して起きる。体中の臓器に必要な量の血液を送り出すことができない状態や、肺や全身に血液が滞るうっ血状態を引き起こすのだ。
大杉さんの命を奪った急性心不全はどんな病気なのか。医学博士の米山公啓氏に聞いた。
「あるとき突然、心臓からの血流がストップします。心臓の血管が詰まる心筋梗塞や動脈が破れる解離性動脈瘤、不整脈からきた心室細動によって急性心不全が起きることが多い。大杉さんは腹痛を訴えたそうですから、お腹の近くの動脈瘤が破れた可能性も考えられます。命に関わる深刻な症状です」
米山氏によれば、心不全のような心臓の病気は50、60代に発症する。脳梗塞などは70、80代に多いから、若いほうが心臓で倒れる危険性が高いことになる。
恐ろしいことに、前兆もなく発作に襲われるという。そのため胸や腹部にいつもと違う痛みを感じたら、急性心不全を疑ったほうがいい。