「灯台のような存在」 津田寛治が語る大杉漣との25年
映画「シン・ゴジラ」の厚労省官僚や、新シリーズ「水戸黄門」(BS―TBS)の風車の弥七役で注目を浴びる津田寛治さん。デビュー以来、数々の転機、人脈づくりのチャンスを与えてくれたのがこの人!
映画デビューは北野武監督の「ソナチネ」(93年)です。
■北野監督学んだ“何もしない芝居”
北野監督もそのひとりで、前作「あの夏、いちばん静かな海。」(91年)の編集の際にプロフィルを書いた手紙を渡していたのですが、1年以上もなしのつぶて。これに憤慨したのが喫茶店のママさん。「ソナチネ」のクランクイン前日に打ち合わせでスタジオにやってきた北野監督に、「たけしさん、ひどいじゃないの。うちの子は1年待っていたのにオーディションにも呼んでくれないなんて」と怒ってくれた。これがきっかけで「ソナチネ」出演が急きょ決まったんです。
そしてロケ初日。集合場所の駒込駅前に早めに行ったら、大杉漣さんがいらっしゃった。当時41歳のベテランなのに気さくに話しかけてくれて、随分と気が楽になりました。僕の役は派手派手のシャツを着たウエーターで、その格好を見た北野監督扮するヤクザの組長に怒られるはずでした。