著者のコラム一覧
片岡たまき

神奈川県平塚市出身。元RCサクセション・マネジャー兼衣装係。夫は「パスカルズ」のバンドマスター、ロケット・マツ氏。著書に「あの頃、忌野清志郎と」(宝島社)。

「デイ・ドリーム・ビリーバー」に込められた実母への思い

公開日: 更新日:

 片岡さんは「ネズミに捧ぐ詩」の基となった、清志郎がメッセージや詩を書きつづったノートのコピーを預かったことがある。そのとき、「書かずにはいられないんだ」という清志郎の言葉にとても感動したという。

 同書にはこんな詩もある。

〈Hey! Baby 見てみろよ 何て可愛いんだろう! わーい、ぼくのお母さんて こんなに可愛い顔してたんだぜこんなに可愛い顔して 歩いたり、笑ったり、手紙を書いたり歌ったり、泣いたりしたんだね〉

 詩としての完成度はお世辞にも高いとは言えない。しかし、だからこそ、狂おしいまでの母親への情念を感じさせるものがある。その半年後、清志郎は覆面バンドの「ザ・タイマーズ」を結成。「デイ・ドリーム・ビリーバー」の日本語歌詞でこう歌った。

〈もう今は彼女はどこにもいない〉〈今は彼女 写真の中でやさしい目で僕に微笑む〉

 クイーンと呼ぶこの女性こそが、もしかしたら富貴子さんのことかもしれない。


「富貴子さんの短歌には戦争を批判した文面もあった。清志郎さんは、RCサクセションのカバーアルバム『カバーズ』で反戦・反原発色の強いメッセージを送っていますが、あるインタビューで『遺伝子に組み込まれているかと思った』と語っています」

 その一曲、「サマータイム・ブルース」の歌詞を巡り、発売中止の騒動が起きる……。

 (つづく)

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