二十歳の誕生日…たったひとつの“おめでとう”が欲しかった
こんな特別な日にも会えない。悲しくて寂しくて涙があふれる。たくさんの「おめでとう」より、たったひとつの「おめでとう」が欲しかった。子供のように泣いた。声を上げ泣いた。好きな人に会いたい、ただそれだけなのに。そんな普通のことができない……。
悲しさをきっかけにいろんな不満や不安があふれてきた。堰を切ったように泣き続けた。その日、母の用意してくれたホールケーキを前に撮られた写真には、泣き腫らした目で、無理やり笑う二十歳の私が焼き付いた。
=つづく
(聞き手・長昭彦/日刊ゲンダイ)