放送作家の彼「タレントに手出した」という理由で丸刈りに
新田恵利編<9>
20歳になったのを機に、母と兄と住んでいた下落合から目黒に引っ越し、念願の一人暮らしをはじめた。
おニャン子クラブから卒業し、おニャン子も「夕やけニャンニャン」も終わり、いちタレントとして、独り立ちした。元アイドルという仕事はなく、女優との選択肢を考えてはみたけど、どうしても、しっくりこない。女優というと、必然的に脱がなければならないとの先入観があり、その壁を乗り越えられなかったのだ。
音楽番組、バラエティー番組の出演では、テレビ局の控室に「新田恵利様」と名前が入り個室になった。芸能界にアルバイトで入り、そのまま就職したことを少しずつ実感していた。
仕事で地方へ行くことも多く、帰りは夜になる。新幹線の車窓からは、外の景色ではなく明るい車内にいる私の顔が映っている。
―――これからどうやって、生きていこう。
気が付くと、いつも自問自答していた。
実は物書きに憧れていた。もともと小学校で習って以来、日記のように詩を書いていたし、この世界に入って秋元康さんと出会い、作詞家を間近で見て目標になっていた。