吉本NSC名物講師に聞いた “芸人の卵”に教える唯一のルール
NSCではどんな授業をしているのか。
「私の授業は初回に、NSCに来ていることを幸せに思う、きちんと挨拶をするなど本多版の『芸人としての心構え20』という基本を伝えて、あとはネタ見せです。セオリーにとらわれずに好きなことをやりなさいと言っています。だから一番粗削りで下手くそな時を見ているとも言えますね。個性の芽を摘みたくないんです。一見、意味のわからないネタでも、彼らには彼らの理屈がある。野性爆弾や天竺鼠はその最たるものでしたね。ナイナイは最初ボケとツッコミが逆だったんで私が『逆やろ』と言って代えたこともありました」
ただ、ひとつだけルールがある。
「人を“さらし者にして笑う”ことは、人としてやめておこう、ということだけは指導します。お客さんが一生に1回しか見ないかもしれない生の舞台。そのとき面白かったと言ってもらいたいですから。スーパーマラドーナがツッコむ時に『殺すぞ』を使っていたのですが、関西人でもあまりに表現がキツいので『しばくぞ』に変えてと言いました」