「実録外伝 大阪電撃作戦」陸軍に学んだ山口組の侵略戦争
同じ事件を扱った映画「日本暴力列島 京阪神殺しの軍団」(75年)でも分かるように、この当時、山口組は抗争のきっかけを求めていた。川田組長が絡まれた一件は双竜会つぶしの格好の口実となり、山口組は念願の大阪を手中に収めて全国制覇に弾みをつけた。
山口組は旧日本陸軍そのものだ。3人が1組になるのは中国大陸で八路軍のゲリラと戦った経験を生かしている。抗争のきっかけをつくるのは甲午農民戦争(東学党の乱)で日清戦争を起こし、柳条湖事件で満州事変を起こした策略を思い出させる。さらに言うと南原親分のセリフ「ケンカは数やない。根性や」は東条英機のようだ。軍隊もヤクザも人殺し集団。流血のチャンスをうかがう侵略者という点で同類だ。
ちなみに劇中の歌手・松木のモデルがバタヤンこと田端義夫なのは有名。川田組長が田岡3代目なのは言うまでもない。
(森田健司)