<10>襲名披露興行を全国で「故郷と地元に錦を飾れます」
1987年10月、歌之介の真打ち披露パーティーは帝国ホテルで開かれた。今回の襲名披露パーティーも帝国ホテルだった。
「真打ちの時は400人が出席してくれました。師匠が自分のお客さまを100人呼んでくれましたから。今回は出身地の鹿児島でもパーティーを開くので250人くらいかなと思ったら、なんと700人もの方に来ていただきました」
真打ちの歌之介は新作落語のグループを結成した。渋谷109ビルのライブスポットで開くネタ下ろしの会「らくご倶楽部109」だ。メンバーは歌之介と二つ目の春風亭勢朝、桂竹丸、春風亭昇太である。
「昇ちゃんは最初からぶっちぎりで受けまくってました。当時は刺激になるより、悔しさだけしか感じなかったですね。うちの師匠は、ひとつのネタを練りに練って作り上げていくタイプで、私もそうです。だから毎月ネタ下ろしを演じるのはきつかった。でも、苦労の甲斐あって、その会から今でも演じる得意ネタが生まれました」
ゴルフに熱中する父親と受験生の息子の物語「お父さんのハンディ」、田中角栄、長嶋茂雄などが登場する「B型人間」である。