ターゲットを絞ると作り手の発想が狭まる
五味の手がけた番組には、「家族のだんらん」につながる仕組みが企画のなかに確立されていたという。番組の盛り上がりが最高潮になった時にCMをはさむ「ヤマ場CM」をつくったのも、テレビで当たり前となっている「字幕テロップ」を多用し始めたのも五味だ。技術的なことも含め、こうした五味の方法論は、テレビ業界だけでなく、ヒット商品を生みたい企業に「五味理論」として脈々と伝わっている。
世代を超えて楽しめるのは、「チコちゃん――」にも共通した強みだ。
「世代を超えて楽しめるテレビ番組作りが難しいのは分かっていますが、何とか実現したいと思ってやっています。『チコちゃん――』に関して言うと、子どもは素朴に何でだろうと思って見るし、大人も知らないから何でだろうということで、一緒に見ることができると思います。五味さんみたいに論理立てて『チコちゃん――』を作っているわけではありませんが、全体像をイメージしたときに破綻がないというか、感覚的に言うと“円になる”という感じですね。いろんな要素がムダなく噛み合って、まとまっていると思います」