「水のないプール」昏睡レイプ魔役は内田裕也の原点か
1982年 若松孝二監督
先日亡くなった内田裕也が本格的な映画出演を果たした作品。実際の事件をドラマ化した。中村れい子の美乳とくびれたウエスト、肉厚の唇が素晴らしい。
地下鉄職員の男(内田)は夜の公園でじゅん(MIE)をレイプ魔から助け、謎めいた女みくによって水のないプールに導かれる。男は改札の仕事に飽きている。
ある日、昆虫採集の注射器で女性を眠らせることを思いつき、クロロホルムを入手。じゅんの部屋の窓から注入して実験に成功する。男は以前から目をつけていたウエートレスのねりか(中村)を眠らせて肉体をもてあそぶ。味をしめた男は他の女性たちを次々と毒牙にかけるが、ねりかの部屋で防じんマスクを外して昏睡してしまうのだった……。
男が行ったのは悪質な強姦行為。今この映画を作ったら抗議を受けるだろう。
それでも本作に引きつけられるのは男とねりかの間に連帯感が生じるから。彼女は股間を触って誰かにいたずらされたと意識する。だが侵入者は彼女のために朝食と紅茶を用意。同じことが続くうちに、ねりかは幼女のような笑みを浮かべ、男の到来を待つようになる。一方、男もねりかへの気持ちを強め、風呂掃除や洗濯まで始める。こうして眠れる美女とレイプ魔の間を疑似的な恋愛感情が流れていく。