地下鉄工事のトロッコに乗った工夫たちは幽霊さながら。轟々（ごうごう）と吹き込む風で新発見の絵画は消滅。ファッションショーの舞台をスケート靴の神父らが闊歩（かっぽ）する風景はカトリックをあざ笑うようだ。かくして深夜のローマを数十台のオートバイが爆音をとどろかせて疾走。淫猥と情熱がみなぎるローマはバイク軍団のようにたくましく生き続ける。
結末まで続くシュールな映像は見る者の脳を麻薬の毒性で侵食。情緒の襞に浸透し、洪水のように流れていく。
（森田健司）
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