ジャニー氏の素顔と仕事術 トイレに4日間&汐留で迷子に…
敏腕TVマン吉川圭三氏が見たジャニー喜多川さん
世の中にはパブリックイメージが先行し、実際の人物と全く異なる人物像が定着してしまうことがある。私の場合、その代表がジャニー喜多川氏だった。十数年ほど前、日本テレビのチーフプロデューサーをしていた頃、「ジャニーズのタレントを起用するならジャニーさんに会っておけ」と制作局長に連れられ、数回お会いした。
初めてお会いしたのは確か銀座のステーキレストラン哥利歐(ゴリオ)だったと思う。ブランド物でギンギンに固められ、高圧的、なんていう“ギョーカイかぶれ”なところは一切なく、背格好も大きいわけでもない。ゴルフにでも行くようなカジュアルな格好で「これが日本を代表する芸能事務所のトップなのか?」と拍子抜けするほど柔和だった。当時70代半ばだったジャニーさんはテーブルに着くとビジネスとは関係のない面白い話を始めた。印象に残っているのは、自宅のトイレに4日間閉じ込められた話だ。トイレの個室の外鍵が閉まり、連休中のため家の奥のトイレで戸を叩いても助けは来ず、事務所の人が捜しに来るまで4日間、手洗い用の水を飲んでしのいだというのだ。ご高齢のジャニーさんが無事だったことも凄いのだが、それを面白おかしく話す。