小さんと談志兄貴が気まずくなり…仲裁が俺の役目と考えて
「小さんと談志兄貴の間が気まずくなった。仲裁するのが俺の役目と考えてね。兄さんの親友の毒蝮三太夫と2人で談志宅を訪ねた。『親父(小さん)は口じゃ兄さんを怒ってるようなこと言うけど、内心では心配してるんだ。兄さんも意地を張ってねえで、頭を下げてもらえねえか。親父はそれを待ってるんだから』と頼んだ。すると兄さんは、『それじゃあ2人の顔を立てて、明日謝りに行くか』と言ってくれた。それで翌日、俺は小さん宅へ行ったわけよ」
談志が謝りに来ると聞いた小さんの顔がほころんだという。
「ところが、約束の時間を過ぎても来ない。談志宅に電話すると、兄さんが出て眠そうな声でこう言うんだ。『師匠、怒ってる? いいから怒らせておけよ。俺、眠い。行かねえ。あの話はなかったことにしてくれ。後は頼むよ』って、昨日と話が違う。師匠に伝えたら怒ったね。『一門全員に、談志は破門したとおまえから伝えろ!』とえらいけんまくだ。『兄さんはあたしの弟子じゃないんだから、師匠の口から言って下さい』って頼んだよ」
これで小さんと談志の師弟関係が決裂した。 (つづく)