齢80でも意気軒高「いくつになっても歌ってるんだろうな」
「そりゃあ若い頃からそばで見てるからな。どうしても師匠に似てくる。落語だけじゃなくて、歩き方からしゃべり方、お辞儀の格好まで似ちゃうんだ。すぐにカーッとなる悪いとこも似てるのは困ったもんだけど」
若い頃、末広亭の楽屋で、仲間に受けようと、「師匠そっくりにやってみせようか」と言って高座に上がり、小さんの十八番「親子酒」を始めた。
「それをいつもより早く楽屋入りした師匠に聞かれちまった。2階の楽屋に呼ばれて説教よ。『俺の持ちネタをやるのはいいが、似過ぎなんだよ。後に出る俺の邪魔になる。どうやろうと俺よりうまくできるわけねえんだ。今後、俺のネタをやったら破門だぞ』ときつく言われた。しかたないから馬生(先代)師匠のとこへ稽古に行ったりしたけど、どんな噺をやっても小さんに似てしまう。そうなると漫談やるしかねえだろう」
それがよかったのかも知れない。
齢80になるのに、いまだ「爆笑派」と言われるのは、漫談と歌という武器があるからだ。
「いくつになっても歌ってるんだろうな」
意気軒高である。 (つづく)