齢80でも意気軒高「いくつになっても歌ってるんだろうな」
2006年、馬風は落語協会会長になったことで、得意の漫談、「会長への道」ができなくなった。本当になってしまったのでは笑いにならないからだ。代わりに、「峠の唄」という新たなネタを始めた。
「同じタイトルの歌をCDにして、高座でも歌ったら受けたんだ。内容は『会長への道』とたいして変わらない。『三遊亭円歌も峠です。林家木久蔵(現木久扇)も峠です。立川談志も峠です』という替え歌でね。最後が、『あとは馬風の時代です』っていう歌詞がオチなんだ」
これが馬風の美声もあってよく受けた。近年は「艶歌の花道」というネタをよく演じる。
「ひたすら美空ひばりのヒット曲メドレーを、これでもかとばかりに歌いまくるんだ。多い時は30曲も。寄席の客層はひばりファンの世代とかぶるんでね。ひばりを知っている人は喜んでくれるね」
馬風は、「爆笑漫談を演じる新作派」というイメージが強いが、実は古典を演じると、先代小さん譲りの本寸法の滑稽噺を演じる。「親子酒」「禁酒番屋」がいいし、「猫の災難」などは絶品で、小さんを彷彿させる。