「地獄の黙示録」ウィラードは1945年のマッカーサーか
1979年 フランシス・フォード・コッポラ監督
カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。原案はJ・コンラッドの小説「闇の奥」だ。
1969年夏、ウィラード大尉(マーティン・シーン)は情報司令部に呼ばれ、元作戦将校カーツ大佐(マーロン・ブランド)の暗殺を命じられる。カーツは歴戦の英雄だが、ジャングルの奥地に潜入して消息を絶ち、今は現地の部族を支配しているという。ウィラードは哨戒艇で川を上り、カーツの王国を目指すのだった。
ウィラードの独白に「欺瞞(ぎまん)」という言葉が何度も出てくる。ベトナム戦争を欺瞞と感じた大佐を同じ考えの大尉が殺しに行く皮肉な暗殺話。米国はこの侵略戦争を聖戦としたが、実は「ウソで固めたベトナム戦争」だった。
これまで幾多の研究リポートが発表された。カーツの名は原作の「クルツ」の英語読みで、「ワルキューレの騎行」はヒトラーが好んだワーグナーの曲。M・ブランドが破格の出演料を要求しながらセリフを覚えず肥満体だったため、苦肉の策で結末を書き換えた。コッポラは200時間分の映像を撮り、編集で悩んで自殺も考えたといった話が伝わっている。立花隆の「解読『地獄の黙示録』」という本もある。