当時の芸名「ふんころがし様」が空港内でアナウンスされて
クルクルクル……カタン!! どうやらオレの人生ルーレットは「フライデー襲撃事件」と同じ80年代中盤に止まったようである。
大きな旅行バッグを抱えて、足早に急ぐ人々……電光の室内板には「JAL」「ANA」の文字が見える。そうか! ここは北海道の新千歳空港の構内だ。
その前日、たけし&たけし軍団のコンサートを終えて、東京へ戻るために、搭乗(手荷物検査)までの時間を各自、自由行動で潰しているのだ。そしてオレは軍団の仲間たちとはぐれ、土産物屋の店内などを焦りながら右往左往している、まさにその真っ最中である。
「どうせ、みんなと同じに行動するのだから」と集合場所もキチンと聞いていなかったら、案の定、この始末となってしまったのだ。
最悪なことに、飛行機のチケットはマネジャーにまとめて預けてあるので、出発時刻さえ正確にわからないありさまである。次第に焦りは増し、額には細かい汗が粒となり、いくつも浮かび始めていた。その時であった。やはり「持つべきものは友」である。集合の時間を過ぎても姿を見せないオレの状況を察してくれたのだろう、空港内にアナウンスが流れた。