当時の芸名「ふんころがし様」が空港内でアナウンスされて
その前にひとつ断っておくと、あの当時、たけしさんは軍団に奇妙な名前をつけていたのである。
「おまえら絶対にビッグにならねー名前にしてやるよ!!」と笑っていたが、その実、「名前でも目立てば世間が目を向けてくれるかもしれないぞ!!」という裏返しの親心であったのだろうと思う(いや、そう信じたい!!)。
それを踏まえて聞いていただきたい! 空港内に流れた美しい女性のアナウンスは「ふんころがしさま(当時オレはその芸名だった)、ふんころがしさま、枝豆さまとユーレイさまがJAL正面カウンターでお待ちです!」というものであった。
さて、そのアナウンスが招いた結末はいかに?
オレが慌ててアナウンスで指示されたカウンターに向かうと、そこは遠目から見ても他の乗客たちがつくりだす、ざわついた空間と化していたのだ。世間的にまだオレたちの名は認知されていないこともあって、「オイ、ふんころがしが乗るらしいぞ!?」「枝豆の幽霊が出たって何だよ!?」「とにかく見よう! 見よう!!」という声があちらこちらで囁かれていたのだった……。
そしてカウンター前に枝豆君とユーレイの姿を見つけ、ホント安堵の胸をなで下ろしたのだが、2人が「オーイ、ふんころがし、こっちだよ!!」と手を上げた途端に、オレは素早くUターンして全力で走りだしたのだった。
(つづく)