人生に2度死んだ男<2>35歳で急性膵炎に…なぜ助かったか
実際、その時の俺の膵臓の数値は正常な人の10倍は優に超え、その値でなぜ命が助かったのか? 考えられるのは35歳という若さ(膵炎は50代以降に出るらしい)であったからとしか考えられないと医師たちが首をひねったくらいだった。
そこから1カ月少々の入院生活が始まるのである。そんな中で俺が一番冷や汗をタラタラと流したのは殿(たけしさん)がお見舞いに来てくれた時のことである。
入院患者同士がなんとなく仲よくなり、面会のスペースでたわいもない話をしている時に殿が来てくれた。その顔を見た瞬間、ありがたくて思わず涙がにじみそうになった俺の心情など一切おかまいなしに、「どうだダンカン、大丈夫か? みなさんも最近はがんでも医学が進歩してますから頑張ってください!」。アー!! ダメ!! それNGシャラップ! シャラップー!!
いや、つかみのジョークとしては素晴らしいんですが……その場にはいませんでしたが、その階のわれわれと反対側の病棟はがんで入院している人たちで、面会スペースは一緒だったのです(汗)。
余談ですが、同じくお見舞いに来てくださったサンコンさんは「1コ、2コ、サンコン」のギャグを100回くらい連発し、ついぞ最後まで「お大事に」の一言も言わずに帰っていったのでした……。 (つづく)