コロナとテレビ<中>サービス過剰を見直しムダをそぎ落とす
不要な外出が自粛され家族と家にいる者にとってはテレビは大事な情報源であり、娯楽であり、心の癒やしでもある。私も今はネット業界に移りテレビを見る機会が減ったが、今回のことでテレビをよく見るようになった。できるだけ正確な情報を放映し、家族みんながお茶の間で一緒に見ることができて、家族の会話のきっかけになる、というテレビの原点が再び見直されていることの表れだといえる。
そして最近感じていたのは他のヒット番組・企画の真似が増えていたことだ。似たようなセットと照明、台本……ネタ元の番組が視聴者でもすぐわかる番組もある。私の番組で例を挙げると「ダーツの旅」がヒットした後、素人さん取材番組が雨後のたけのこのように生まれたし、「恋のから騒ぎ」後には“ひな壇”番組がたくさんできた。そうやって他が成功した安パイな手法を足していった結果、ムダなぜい肉がついたのかもしれない。
今回を機に余計なデコレーションを省ければテレビの存在意義がクリアになり「禍を転じて福と為す」ことができるのではないだろうか。(つづく)
▽吉川圭三(よしかわ・けいぞう)1957年、東京都生まれ。82年日本テレビ入局。「世界まる見え!テレビ特捜部」「恋のから騒ぎ」「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」などを手掛ける。現在、ドワンゴのエグゼクティブプロデューサーを務める。近著に「たけし、さんま、所の『すごい』仕事現場」(小学館)がある。