著者のコラム一覧
板坂康弘作家

東京都出身。週刊誌ライターを経て、阿佐田哲也、小島武夫が結成した「麻雀新撰組」に加わり、1972年創刊「近代麻雀」の初代編集長。小説CLUB新人賞を受賞して作家デビュー、著書多数、競輪評論でも活躍。

<1>麻雀で始まり競輪場で終わった18年の付き合い

公開日: 更新日:

 麻雀は4人揃わないと、できない。私も阿佐田さんとは初対面だったが、メンバーとして招待されたのである。

 それから18年後――。

 阿佐田さんとの別れも書いておきたい。永訣は、廃止になった花月園競輪場である。ここで競輪の日本ダービーが開催された平成元年3月のことである。

 決勝戦の当日、阿佐田さんは新聞記者席にいたが、レース終了後、メインスタンドにいた私たちの席に上がってきた。数多くの競輪仲間と楽しげに言葉を交わし、満面の笑みを見せていた。

 それが……。

 今生での、阿佐田さんの姿の見納めになった。指折り数えると、今年が没後31年になる。

 花月園の数日後、私に新聞社から電話があった。それが訃報の知らせの最初。

「阿佐田先生の追悼記事を作るので、談話を」

 と、求められたが、動転して言葉が出ない。

 ふっと思い出したのが、彼と交わした短い言葉である。私と2人だけの時に、

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