「あ~オレだ」談志師匠の突然の電話にうろたえる俺なのだ
そうと知り、贈っていたのだ。あの時は師匠の奥さまが伊勢丹マニアということもあり、伊勢丹のスポーツ用品のところで買い求めたのだった。
「で、談かん、この夏は水中メガネを頼みたいんだけどよぉ」
「あ、はい! また夏にどこか潜りに行かれるんですか? 水中メガネを早急にお届けさせていただきます」
「おう、ありがとうな! でも、オレ老眼なんだよ……老眼ってわかるか」
「は、はい、老眼くらいは……」
「バカ野郎!! 若いおまえに老眼がわかるか!!」
「はい! いや、でも一般的に老眼くらいは……」
「おまえには老眼はわかんねぇんだ!!」
さあ、そこからまた厄介な夏の物語が始まっていくのだった……。
(つづく)