「シン・エヴァ劇場版」興収100億円も…何がすごいのか?
しかし今回「シン・エヴァ」を見ても、筆者はシンジに腹が立つどころか、彼はすごいと素直に思った。ある種、彼に感じていた嫌悪感は「同族嫌悪」に近かったのかもしれない。完結編を見届ける間にシンジ同様、筆者も大人になってしまったらしい。エヴァンゲリオンが完結した今、筆者にとってエヴァは「子供が大人になることを受け入れる物語」として映った。そして「汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン」から降りるということは、そのメタファーのようにも感じられた。もう2度と乗れない電車をなんの覚悟もなく降りてしまうような瞬間が、我々の人生にも多くある。
そんな瞬間を、エヴァンゲリオンという作品は26年という時間をかけて緻密に、そして丹精に描いていたように感じる。「シン・エヴァ」のエンドロールが終わって、劇場の電気が点いているのに放心状態でしばらく動けなかった。理解することはナンセンスだと思っているのに、どうしても理解したくなって私は近々、2度目の「シン・エヴァ」を見に行くだろう。全ての子供だった大人たちに、シンジたちの姿をぜひ、見届けて欲しい。