ワイドショーのコロナ特集は高視聴率ネタ 現場はヘトヘト
「もっと“密”の画はないの!?」
ディレクターからこんな注文を出されて、いまテレビのカメラマンやリポーターたちは困惑している。
「まん延防止(まん延防止等重点措置)が適用されても相変わらずの人混みです――というニュースにしたいのでしょうが、渋谷のスクランブル交差点だって、時間によっては、それほど人は歩いていません。仕方がないので、ズームを多用します」(撮影クルーのひとり)
ズームレンズ(望遠)で撮ると、奥行きが縮まるので、人が密集して見える。圧縮効果だ。朝のワイドショーでターミナル駅の出勤ラッシュを中継する時は、電車の到着が重なって乗客が改札口に集中するタイミングに合わせて、少し離れたところからズームで狙う。混雑ぶりが強調されて、こうした映像を流しながら、キャスターは「混み方は普段と変わりません。リモートワークは広がっていないようです」とコメントするのだ。
逆もある。時短営業と外出自粛で繁華街は閑古鳥という映像が欲しい時は、ワイドレンズ(広角)を使う。実際より前後左右が離れて、人がまばらに見えるからで、「パース(パースペクティブ)」と呼ぶ。