<56>イブとの別れ…神式の葬儀に続き、お寺の坊さんがお経を読む不思議な光景
野崎幸助さんがなじみにしている闘鶏神社の宮司さんが神式の葬儀を行った後で、今度はお寺の坊さんがお経を読んだ。「記録を残しておいてくれ」と常日頃から口酸っぱくドン・ファンから言われていたので、私はカメラをあらゆる方向に向けてシャッターを切っていた。神妙なドン・ファンの姿は痛々しかったが、隣の早貴被告は私のレンズに顔を写されないようにしたいのか、長い髪を顔にかけるようにうつむいていた。
彼女がイブを可愛がっていたのを見たことはない。エサをあげるのもドン・ファンだったし、散歩に連れていったこともなかった。
イブは吠えることをほとんどしないし、社長以外の者に対してじゃれつくこともしない。おとなしい犬だった。家政婦の大下さんは優しい性格なのでイブのことを可愛がり、イブも大下さんには懐いているようだったから、彼女もイブの死はつらそうだった。
宮司さんや坊さんにはリーガロイヤルホテルで購入したケーキセットの紙袋が渡された。それにしても不思議な葬儀だった。宮司さんと坊さんを呼ぶって誰のアイデアだったのか?