<59>新しい家政婦が決まって迎えに行くと…ドラえもんにそっくり!
社長はそれだけを言うと口を閉じてしまった。
「私、バツイチで20歳を越える息子がいるシングルマザーなんです。社長さんのところに来られてうれしいです」
精いっぱい媚を売るようなしゃべり方をするが、社長の反応はなかった。履歴書も用意しておらず、不思議な印象を持ったが、彼女の気分を傷つけないよう話に耳を傾けた。
3人を自宅に送り届け、私は定宿のビジネスホテルに戻って雑用を処理していた。東京で仕事があり、その日に帰ることにしていたが、社長が偲ぶ会にも出て欲しいと言うので1日延ばすことにした。
多分、私がいることで早貴被告との会話が盛り上がると考えたのだろうが、昨年暮れに六本木のホテルに呼ばれたのと同じパターンだな、と思った。
マコやんはA子さんの体形がドラえもんにそっくりだったので、陰で「ドラ子さん」と呼ぶようになった。 =つづく