<59>新しい家政婦が決まって迎えに行くと…ドラえもんにそっくり!
イブを偲ぶ会を開くことになった「かんぽの宿」は、私も宿泊したことがある静かな宿だった。
「明日あいているそうです。午後6時からの予約を入れました」
番頭格のマコやんが言った。
「そうか、それはよかった」
野崎幸助さんはそう言うと、自分の携帯電話を手にしながら私に話しかけてきた。
「あのね、お手伝いをしていいという方がいるんですよ。3年ほど前に銀座のクラブで働いていた方なんですけど、記憶にほとんどなくて。吉田さん、ちょっと電話で確認していただけませんか?」
どうやら今朝、社長に電話がかかってきたらしい。
「記憶にないってことは好みではないということですよ。いいんですか?」
隙あらばお手伝いさんと懇ろになろうというドン・ファンの下心に、マコやんがクギを刺した。
「ええ、いつでも行けますから」