<77>早貴被告はアプリコの財産を手に入れられる立場になった
2018年5月24日に亡くなった野崎幸助さんの通夜・葬儀の段取りを決めるために、野崎さんの自宅の1階リビングに集まったのは、妻の早貴被告、「アプリコ」の金庫番の佐山さんと番頭で会社の監査役になっているマコやん、そして名目上の役員だった家政婦の大下さんとM氏、そして私と葬儀屋さんの担当Tさんであった。
■周囲はダンマリ
ただ、その時に「遺骨もお墓も要らないから、2億円もらったら帰ります」と言い放った早貴被告を「じゃあ遺産も要りませんと言ったらどうだ!」と一喝したのは私だけであった。社長から可愛がってもらっていたし、少しは彼の相談に乗っていたと自負している私にとって、彼女を戒めるのは当然のことだった。
そもそもこの時点で早貴被告のことをよく知っているのは、私とマコやん、そして大下さんの3人だけだったろう。彼女は佐山さんと犬猿だったし、M氏とは会ったこともなかった。
まずは通夜・葬儀の日程を決めなければならない。遺体がいつ戻ってくるのかも不明だったので一応5月29日に通夜、そして30日に葬儀という斎場の仮押さえをしてもらうことにした。そしてお寺とお墓の話し合いに入ろうとした時に、早貴被告の「遺骨いらない」発言が飛び出したのだ。