<77>早貴被告はアプリコの財産を手に入れられる立場になった
M氏は発言することもなく、椅子に腰かけているだけだった。
「誰もやらないならオレが会社を引き継いでもいいんだよ」
彼は会社ではそのように言っていたのだから、早貴被告をコントロールして会社運営に携わろうとする気が満々だったが、それを察した佐山さんやマコやんからは蛇蝎のごとく嫌われていたし、早貴被告も嫌っていた。
大下さんも名目上の役員であるが、早貴被告を名目上の社長にして業務を継続することに賛成していたし、会社の業務に口出しすることはしない性格なのは分かっていた。(つづく)