バンドゥーラ奏者カテリーナさん「呼び寄せた母親と今でも一緒にボルシチを作る」
トマトが入っているのは最近のロシアのボルシチ
家族はパパが10年前に亡くなり、母と4人姉妹で私は末っ子です。ママはこの3月に日本に来ることができました。私は19歳で日本に来て20歳で日本人と結婚して、息子は今12歳です。私は料理を作って食べてもらうのが好きなので、子供が保育園の頃、よく家に近所のママさんたちを招いて料理を作っていました。キーウ・カツレツは人気でしたね。鶏の胸肉の中にバターとパセリ、ニンニクを入れ、パン粉をつけて揚げます。レモンをかけて食べるととってもおいしいですよ。
他にも伝統料理のデルニはすったジャガイモとタマネギとニンニクを、卵と小麦粉と一緒に混ぜ合わせてお好み焼きのように焼きます。サワークリームをつけて食べたら絶品です。
ママが来てからよく一緒にボルシチを作っています。子供の時や帰国した時によく作ってくれました。ボルシチは豆、ジャガイモ、キャベツ、ニンジン、タマネギ、パプリカ、最後にピーマンとパセリを入れます。牛肉で作る人が多いけど、私は鶏肉を使います。鶏肉ならヘルシーでサッパリ出来上がります。あの赤い色はビーツを入れるから。ビーツと豆が入っているのが伝統のウクライナのボルシチです。
赤い色を出すためトマトを入れるのは間違い。トマトが入っているのは最近のロシアのボルシチですね。強火で煮てしまうとせっかくの赤い色がなくなってしまうので弱火でゆっくりと煮込むのがコツ。ママのボルシチはサワークリームを最初から入れるのですが、私は出来上がったお皿の端にのせておきます。最初にそのままを味わってその後、サワークリームと一緒に楽しめるでしょ。
戦争が起きる前は料理のおもてなしのイベントをやっていました。10~15人程度のコース料理とウクライナワインを楽しんでいただき、ウクライナ文化を紹介します。もちろんバンドゥーラの演奏も。そのための大きな鍋やフライパン、食器も揃え、おもてなしの時は地方の会場まで送る。実は日本全国ボルシチツアーをやる話もあって。いろんな地域に行ってボルシチとバンドゥーラ、ウクライナ文化を堪能していただくものです。
でも、企画しようとした時に戦争で全部ダメになっちゃって。今はおかげさまで毎日コンサートが入っていますので忙しくしています。また、バンドゥーラとウクライナ料理でおもてなしをするイベントを企画できたらいいなと思います。
(聞き手=浦上優)