女優・加茂美穂子が振り返るコロナ禍のエンタメ業界「映画や文化が医療と同じであるように」
3年前の2020年4月7日。新型コロナ対策のため緊急事態宣言が発令され世の中は一変。その影響をもっとも被ったのは“不要不急”のレッテルを貼られたエンターテインメント業界だろう。そんなコロナ禍のなかをどう感じ、どう過ごしたのか──。役者を生業とする20人の日常を撮影したドキュメンタリー映画「東京組曲2020」(三島有紀子監督)が話題になっている。出演者のひとりである女優の加茂美穂子さんに聞いた。
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──コロナ禍で仕事にはどんな影響が出ましたか。
「私の場合ですと、オーディションやワークショップが全部ストップしてしまい、入って来る仕事がなくなってしまいました。役者って現場がなければ毎日どこかに出勤するわけではないので、突然、社会から遮断されて無職になったような感覚でしたね。でも(2020年)5月ごろからはリモートでの動画オーディションが始まりまして、台本が送られてきてスマホで撮影して送るスタイルが普及し、今はもう定着しましたね」
──リアルな現場は“密”になるので集まれない時間が長かった。
「でもコロナ禍のなかでリモートが普及したメリットもあって海外作品のオーディションに参加しやすくなりました。先方も交通費なしで呼べますから。役者仲間や演出家とはリモートでの台本読みも普通のことになりました。人間って環境に順応するものだなあと」